内容
この本は、リンデという一人の女性が過ごした、とある日の出来事を切り取ったお話。
「16歳のリンデとスコアボード」「28歳のリンデとワンピース」「34歳のリンデと結婚記念日」「47歳のリンデと百年の感覚」「3歳のリンデとシューベルト」「63歳のリンデとドレッシング」以上の6章が収録されています。
感想(ネタバレも含みます)
リンデのことを好きかと聞かれたら、正直言って好きじゃない。
どの辺が?と聞かれると困るんだけれど、3歳のリンデのお話が決定的。それは幼稚園でお昼寝しなければいけない時間の出来事。
嘘をつき大声で泣くという行動に出るのだ。
結局、リンデは嘘をついていないと庇う男の子がいて、最後は先生がリンデに謝るのだが、次へと続く63歳のリンダが、またくだらない嘘をつくんだよね。
でも63歳のリンダは3歳の時とは違い、嘘をついたことを告白する。でもそれは本当に告白されたほうにとってはどうでもいい嘘で、嘘をつかれたままでも1mmたりともなんの影響もない嘘。
その嘘をわざわざ告白するのは、リンデがそのことを謝罪し自分がちょっと気分良くなりたかっただけでしょ。言い訳を交えながら告白し、相手にわかりますと同調してもらいたかっただけ。
そんな風に感じてしまった私も相当ひねくれてはいるけれどね。
最初に収録されている「16歳のリンデとスコアボード」を読み始めた時に、リンデはちょっと面倒くさいなと感じたけれど、その気持ちは最後まで読んでも変わらなかった。
16歳のリンデは、学校で席が近かったからという理由で、一緒にお弁当を食べるようになった二人とボウリング場にきていたのだが、ここでこの二人のことが好きじゃない、ってことに気付くんだよね。
それは別に構わない。ここで何が起きていたかというと、リンデは別のグループの子にお昼を一緒に食べないかと誘われていて、それを二人にどう切り出そうかと考え、切り出し、いつもとは違う別の話題などに触れたあとに、二人のことが好きではないという結論に至るのだ。
自分がこの年頃の時はどうだっただろう?って思い返してみると、学校ではいつも同じメンバーでお昼を食べ行動していたけれど、休みの日には別のグループの子とも遊んでいたことを思い出した。
それに対して思い悩んだりもしなかったけどなぁ。
リンデは繊細で傷つきやすいのかもしれない。いい人間だと思われたいタイプだと感じるし、自分のことはいい人間だと思ってるんだと思う。
だけどそれはそれとしても、やっぱりリンデは好きじゃない。
本のタイトルは「自分を好きになる方法」だけど、自分をリンデに重ねてみたり、女性はそういう生き物だと思ってみたりしているうちに、自分を好きになる道は遠いと感じずにはいられませんでした。