あらすじ
若い頃の2年間に「スターバック」という名前で行った精子提供により、なんと533人の父親になっていた42歳独身のダヴィッド。その内の142人から身元開示の裁判を起こされたことで初めてその事実を知ることに。
ダヴィッドは身元を明かすつもりはないものの、子供たちへの興味が抑えられず、父親だということは明かさずに一人一人に会いに行くのだったが・・・
感想(ネタバレも含みます)
693回の精子提供で533人の生物学上の父親となったダヴィッド。どんな修羅場が待っているのやらと思いながら観ていたのだが、終わってみるとまさかまさかの大団円。
もちろん最初からうまくいったわけではないのよね。
序盤ではダヴィッド自身が結構なダメ男であることが暴かれ、妊娠が発覚した恋人のヴァレリーにもほぼほぼ愛想を尽かされているといった状態。
そんな中、明るみになったのが533人の父親という事実。
でも彼はなぜ2年ものあいだ693回もの精子提供をしていたのか?20年以上前のこととはいえ、若気の至りなのか目的があってのことなのか?
ただ、精子提供で得たお金の使い道は、ヴァレリーを招いた家族の食事の席で示唆される。それがまたいい話なんだけれど、家族はもちろん精子提供で稼いだお金だとは知らないんだよね。
そこで唯一訴訟を起こされていることを知っているのが彼の友達の弁護士。
そしてダヴィッドはというと、身バレはしたくない、でも子供たちには興味がある。ってことで素性は隠し順番に子供たちを訪ねていっちゃうんだよね。
でももし自分が男で、533人とは言わないけれど子供がいたと発覚し、身元開示を要求されたらやっぱり気になるであろうことは想像できる。だけど絶対ダヴィッドのような行動は起こせない。せいぜい遠くから観察するくらいが精一杯だと思う。
ダヴィッドの凄いところは素性は明かさないとはいえ、次々と子供たちに接触して接点を持っていくところ。
だけどお気楽とばかりも言っていられない。それは同時に世間では「スターバック」は誰なのか?とマスコミも騒ぎ出してしまったから。
結局最後は素性を明かすことにしたダヴィッドだったけれど、偉いのはダヴィッドではなく訴訟を起こした子供たちやダヴィッドの家族、そして恋人のヴァレリー。
産まれる赤ん坊はいきなり533人の兄姉を持つことになるけれど、それを理解できるようになったらいったい何を思うのやら。
最後の出来すぎたハッピーエンドに釈然としないものもなくはないけれど、ハートフルコメディだと考えると、着地点はこれ以外はないか、と納得してしまいました。
監 督:ケン・スコット
出演者: パトリック・ユアール アントワーヌ・ベルトラン ジュリー・ルブレトン